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マインドフルネス3つの効果:筆者がセミナーを受けて6か月間実践した内容を完全解説

マインドフルネス3つの効果:筆者がセミナーを受けて6か月間実践した内容を完全解説

はじめに

この記事を読んでいただいている方は、おそらく「ストレス」や「イライラ」を何とかしたいと思っている方だと思います。私もそうです。私はGoogleで開発された研修プログラム「Search Inside Yourself(SIY)」を本とセミナーで学びました。6か月間実践した結果を踏まえて、マインドフルネスの効果についてまとめました。

ストレス軽減の効果があるマインドフルネスはビジネスにおいても効果があるとされています。Google、アップル、Yahoo!、Facebook、セールスフォース・ドットコム、LinkedIn、SAP、インテル、ゴールドマン・サックス、NIKE、P&G、フォードなどのグローバル企業が導入し、日本でもSansanやメルカリ等が導入しています。

この記事では、瞑想等のマインドフルネスの「やり方」ではなく、マインドフルネスの「効果」にフォーカスして記載しています。

1.マインドフルネスの3つの効果

「マインドフルネス」は、嫌な考えにとらわれないようにすることで、自分の本当の力を発揮させる手法です。「瞑想」や「座禅」はそれを習得するためのトレーニングの一つです。マインドフルネスは思考と感情のメカニズムを脳科学的に説明し手法にとりいれているので宗教色の少ない方法です。

それでは、マインドフルネスの3つの効果からご説明します。

  • ストレスを軽減できる
  • 仕事が効率的にできる
  • より良いコミュニケーションができる

1-1.ストレスを軽減できる

「マインドフルネス」では自分の感情を客観的にとらえることから始めます。客観的にとらえることで感情と「うまく付き合える」ようになり、ストレスを軽減できます。ストレスやイライラの原因を直接取り除く訳ではないですが、ストレスとうまく付き合えるようになるので、結果としてストレスやイライラを軽減できます。

「イライラ」と「判断」との間の隙間を広げる

「自分の感情を客観的にとらえる」とは、「刺激と反応との間の隙間を広げる」ことです。例えばイライラしている感覚を「刺激」とすれば、すぐに評価や判断したり行動したりすることが「反応」になります。「刺激に直結した反応」をしないことで、イライラを管理できるようになります。

イメージですが、激怒している時に、一旦強制的に「ちょっと待った」や深呼吸した時に少し冷静になった経験はないでしょうか。この「隙間」は、自分が感情にオートパイロットで動かされてしまうのを防ぎ、客観的に判断できる時間を与え、イライラを軽減します。

「感情」を一歩さがって他人事としてとらえる

感情を科学的に理解し、対処の仕方を身につけることで自分の感情をコントロールできるようになります。あなたがイライラしている時に、まるで一歩さがって他人を見ているかのように、「いま自分は怒って、呼吸が浅くなって、顔が赤くなって、嫌な気持ちを感じている」と見ることで、自分の感情を客観的にとらえます。

一旦、いい意味で優しく他人事のようにとらえることが「刺激と反応の間の隙間を広げる」ことになります。このように自分の感情をうまくコントロールできるようになれば、ストレス軽減につながります。

「イライラしている自分」を嫌にならないようにする

客観的にみることで「イライラしている自分」に対して嫌悪感を抱くことも軽減できます。「こんなすぐに怒ってしまう自分が本当に嫌い」と思ったことはないでしょうか。

このように自分の中で勝手に意味なく苦悩を増幅させている人もいます。客観視することで、「それは私のコントロールできる範囲外こと」として考えられるようになるので、この余計な苦悩から解放されます。

1-2.仕事が効率的にできる

マインドフルネスで仕事が「はかどる」ようになります。知的能力、メンタル、モチベーションの3点で説明します。

(1) 本来持っている知的能力を発揮できる

マイナスに働く「嫌なこと」や「嫌な思考」を切り離し、余計な考えにとらわれない能力を身に付けると、本来持っている知的能力も発揮できるようになります。嫌なことを考えながら仕事をしている時と比較して、平常心で仕事に没頭している時の方が、仕事の処理スピードがあがります。

また、創造性も高まります。嫌なことを考えつつ、自由な発想で解決策を探すのは困難です。嫌なことから切り離してあらゆる側面を受け入れ考えられれば、今まで気づかなかったような発想が浮かんだり、それを否定したりすることが少なくなります。

(2) メンタル的な強さが身につく

「仕事で能力が高い人」はどのような人か想像してみましょう。単に思考力が高いとか、分析力が高いだけではないと思います。達成意欲が高かったり、他人に影響力があったり、難題を率先して引き受ける力だったり、自信があって頼りがいがあるのも能力のうちです。

このように考えると単に知的な能力の高さだけが能力とは限らず、仕事にはメンタル的な強さが求められていることがわかります。イライラをコントロールできることはメンタル的な強さです。マインドフルネスで余計な考えにとらわれない能力を身に付けることで、メンタル的な強さを養うことができ、仕事における能力が高まります。

(3) モチベーションを高める

モチベーションが高ければ、仕事の効率もあがるでしょう。なぜ「マインドフルネス」はモチベーションを高めるのでしょうか。自分の感覚を客観的に把握することができるようになると、心の奥底にある価値観(本当にやりたいこと)をより鮮明に把握することができます。

そして今 行っている事(仕事)と本当にやりたい事(生活)の接点を、こだわりを捨てて客観的にに見つけ出すことができれば、仕事をすることが自分のやりたいことになり、仕事に対するモチベーションがあがります。

(ちなみに 反対の事を考えてみましょう。「嫌いな上司のボーナスアップのために私は働いている」と想像してくだい。きっとやる気をなくすでしょう。)

1-3.より良いコミュニケーションができる

マインドフルネスで自分を客観的にみることができると自信もわいてきます。どのような相手からの反応や批判に対しても冷静に対処できる能力も身に付きます。いつもは相手を攻撃し論破することに集中していても、そのようなことをする必要がなくなり、相手の言うことをすべて聞き、そのうえで最善の策を考え出すことに集中できるようになります。

感情のコントロールができれば、どんな場面でも自信があり、冷静なコミュニケーションができるようになります。いつも 前向きで、人付き合いがよく、温かく、笑顔を見せ、一緒にいて楽しく、協力的で、「ありがとう」が言え、他人を信頼し、穏やかな素晴らしい人になることを目指しましょう。

2.効果を出すためにすべき2つのこと

これらの3つの効果を手に入れるためには、2つのことをする必要があります。

  • 自己認識を高める
  • 共感(思いやり)を持つ

一瞬矛盾しているように思えますが、「自己認識を高めること」は「共感を持つことにつながる」ので、「自己認識を高める」ことから始めましょう。

2-1.自己認識を高める

上記の3つの効果を発揮するためには「自己認識を高める」ことが基本となります。自己認識を高めることで「余計な考えにとらわれない」能力を身に付けます。直感的にわかると思いますが、もし余計な考え(例えば“アイツ嫌なやつ”、“アイツ またやったよ チェッ”)から意図的に遠ざける」状態ができたら、かなりストレスが軽減されるだろうなと想像できるでしょう。

余計な考えを思い浮かばないようにはできませんが、思い浮かんでも集中すべきことにもう一度「意識を持っていく」ことはトレーニングで可能です。

それでは「自己認識を高める」とはどういうことでしょうか。自己認識を高めるためには3つのステップがあります。順番に説明します。

(1) 感情を自覚する
(2) 正確に自己査定する
(3) 自信をつける

(1) 感情を自覚する

自分を第三者の視点から眺めることで、自分の感情を明確に捉えることができ、自分の感情を客観的とらえられるようになれます。自分の感情に対し、第三者的に「そうだね」と批判することなく向き合えるようになります。(“空から見ているような感覚”という人もいます。)そのために「刺激と反応との間に隙間を作る」能力を身に付けます。

「刺激と反応との間の隙間を広げる」とは「イライラの原因にすぐに反応しない」ことです。そのトレーニングをマインドフルネスの手法で行います。

ここではトレーニング方法については言及しませんが、呼吸や体に集中したり、歩くことや食べることに集中したり、日記書くようなことをしたり、人の話を聞くことに集中したりして、「ありのままの自分の感情に、批判することなく向き合う」練習します。

(2) 正確に自己査定する

「余計な考えにとらわれた(支配された)評価や判断」の元では、「ろくでもない結果いかにも正当」であるかのように自分で自分を説得するようになります。「怖そうな人」がいて、「なぜ彼女・彼はこわいのか」という理由は、すぐに思いつくでしょう。そして「だからこの人はきっと怖い。だから近寄らない」と“素直”に確信できると思います。もしかしたら「怖そう」なだけで、優しいかもしれませんが・・・

「余計な考えにとらわれた(支配された)評価や判断」をせずに客観的に物事が見えるようになると、自分に対しても正確な自己査定ができるようになります。そして自分の長所と限界が見極められるようになります。自分の長所と限界を知ることで、自分の優先事項と目標が明確になってきます。

(3) 自信をつける

自分の長所と限界を把握できたら、多くの場面での対処の仕方がわかるようになります。自分の長所に疑いがなければ人の前で自分の長所を強くアピールできるようになります。また自分の限界を知っていれば、余計なことを言って、あとで後悔することもなくなります。ですからさらに強く主張できるようになります。

自分の限界以上のことに執着すること(私はこうでなくてはならないという妄想)を捨てられるようになります。この執着心を捨てることで自信が深まります。

2-2.共感(思いやり)を持つ

自信をつけると、周囲に対して余裕ができ、相手に対しても思いやりが持てるようになります。

(1) 強い自己認識をもっている人は、共感能力も高い

脳科学的には、自己認識で使っている脳の部位と同じところを使って、相手に対する共感を認識しています。私たちは「他人の状態を自分の脳が真似る」ことで共感しています。まるで自分ごとのように相手の痛みを感じることで共感は生まれます。

映画で左手を切るシーンがあったとして、自分の左手に違和感をもったり、抑えたりしたことはないでしょうか。これが私たち誰もが生まれた時から持っている共感力です。

目や耳からの情報で自分の痛みに変えることができます。優れた自己認識を持っている人は、他人と話し、見ることから得られる情報で「他人と共感していること」に気づくことができます。だから自己認識が強い人は共感能力も高いと考えられています。

(2) 共感は心理的に分析することでも同意することでない

共感は心理的に分析することでも同意することでもありません。心理的に分析することとは、中途半端な知識で人を批評することです。もしあなたが相手に対して「あなたは子供の時に✖✖があったから〇〇なんだよね」と言ったり考えたりしたら、それは心理的な分析です。

共感しながら同意せず、丁寧に優しく異議を唱えることはできます。共感しているからこそ、単に相手を論破するのではなく、「丁寧に優しく」話し合うことができるのです。

(3) 共感(思いやり)で難しい場面でも良いコミュニケーションができる

厳しいことを言う必要がある時に、単に相手を説き伏せることに集中してしまうことがないでしょうか。議論の目的が「自分の主張を通す」「論破する」「相手を打ち負かす」ことになったことはないでしょうか。しかし、このやり方ではたとえ論破することができたとしても、「しこり」が残るでしょう。

しこりが残ったまま 次の話し合いがあると、相手の議論のゴールは「今度こそ負けない」ことになっているかもしれません。そうなっては、長期的にはあなたの理想とする合理的な結果や解決方法にはならないでしょう。

もし「共感」をもってコミュニケーションができれば、説き伏せた場合の結果より、よりいい形で話し合いを終えることができます。共感(思いやり)のあるコミュニケーションで、相手に対するストレスやイライラの原因そのものも解決できる可能性があります。

3.ビジネスにおける効果:マインドフルネスで“強い”リーダーシップが発揮できるようになる

マインドフルネスには、前述のストレス軽減、仕事の効率化、コミュニケーションの改善の効果がありますが、ビジネスにおいては、自信と思いやりが増えることで”強い”リーダーシップを発揮できるようになります。共感のある(思いやりのある)リーダーシップはとても効果的で“強い”リーダーシップです。

3-1.”強い”リーダーシップとは「持続性」や「回復力」のあるリーダーシップ

絶対に間違わないリーダーシップを目指していても いつかは間違うこともあります。「絶対に間違わない」ことにこだわると、命令的になったり、間違っていることを力で否定してしまったりするかもしれません。このようなリーダーシップは長続きしません。

また、普段から仲間や部下から恨みを買っていたら、ちょっと間違っただけで、反発されるでしょう。間違いからすぐには立ち直れないでしょう。

共感(思いやり)のあるリーダーシップは、とても「持続性」や「回復力」があるリーダーシップです。周りの協力を得ることで高い目標を実現するリーダーシップです。

3-2.3つの共感(思いやり)で“強い”リーダーシップを発揮する

「マインドフルネス」で身につく共感(思いやり)は、相手の苦しみに対する「気遣いの感覚」とその苦しみを取り除きたいという願いも育てます。そして認知、感情、動機といった異なる3つのレベルで共感(思いやり)を育てることがキーです。

  1. 「あなたを理解している」(認知)
  2. 「あなたに同情している」(感情)
  3. 「あなたの役に立ちたい」(動機)

相手を理解し同情することで、謙虚になれます。「役に立ちたい」という動機が、利己的(自分さえよければいい)ではない野心(高い目標)を生み出します。この「野心をコントロールする謙虚さ」が“強い”リーダーシップを生み出します。

3-3.「野心をコントロールする謙虚さ」が“強い”リーダーシップを生み出す

強いリーダーシップには、「野心」と「謙虚さ」2つが必要です。

「野心」とは、高い目標を持つことで、リーダーシップにおける野心とはその高い目標は一人では成し遂げられないような高い目標です。「謙虚さ」とは、その高い目標と達成意欲が自分の利益にフォーカスされていないことです。

もしあなたの高い目標とその達成意欲が 自分の利益にフォーカスしていたら、誰もあなたと共に高い目標に向かうことはないでしょう。協力が得られなければ、高い目標は達成できません。

「野心(高い目標)」を持ちつつ、チームの協力が得られるような「謙虚さ」が必要です。「野心をコントロールする謙虚さ」が重要です。マインドフルネスの共感(思いやり)は、この「野心」と「謙虚さ」を支えます。

強いリーダーシップを生み出す

4.マインドフルネスを身に付ける2つの方法

実践していくためには トレーニングが必要です。筋肉をトレーニングするように心をトレーニングする必要があります。トレーニングの方法について本を読んだり、セミナーに参加したりして学ぶことができます。この記事のベースとなったSIY(サーチ・インサイド・ユアセルフ)を詳しく学ぶための代表的な本とセミナーをご紹介します。

4-1.本で学ぶ

この記事は、次に紹介する本をベースに、できるだけ難しい言葉を排除し私なりにまとめました。この本を読むことで、さらに深く科学的なアプローチや事例を理解することで、より深く学ぶことができます。また実践方法も記載されています。世界26ヵ国で翻訳された世界的ベストセラーの本であり、マインドフルネス学習のバイブルの1つです。

サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法

http://amzn.asia/6U75fyq

 著者のチャディー・メン・タンは、グーグルにおいて初期のエンジニア(社員番号107番)として成功後、グーグルでSIY (Search Inside Yourself)を開発。2015年にグーグルを退社し、現在はSIYLI(Search Inside Yourself Leadership Institute)会長として、SIYの普及に努めています。

4-2.セミナーで学ぶ

Google社が、最新の脳科学に基づいて開発したリーダーシップ・パフォーマンス向上のプログラム(SIY: Search Inside Yourself)でマインドフルネスを学ぶことができます。米国SIYLI (Search Inside Yourself Leadership Institute)が認める組織と講師によって教えられるSIYプログラムです。

SIY Search Inside Yourselfコアプログラム2日間
(SIYLI CEO、元Google人材開発部長 Rich Fernandez氏 初来日登壇)

2018年10月20日、21日開催 SIYセミナー【東京会場】
2018年11月3日、4日開催 SIYセミナー【福岡会場】

詳細:https://mindful-leadership.jp/siy/

まとめ

ストレスやイライラを解消し、仕事の効率を高め、より良いコミュニケーションをするためには、 「自己認識」と「共感(思いやり)」が大切です。「学ぶ」と「実践する」は別物なので、学ぶだけでなくトレーニングし実践で経験を積みスキルを身に付けましょう。

筆者がマインドフルネスを知ったのは2017年8月のNHKテレビ番組でした。それから本を読み、自己流でマインドフルネスを実践してみました。2017年10月にSIY(Search Inside Yourself)コアプログラムのセミナーを受講し、それ以降実践し続けています。イライラは明らかに軽減しています。イライラは感じますが、そのイライラの期間は短くなり、しばらくたてば合理的な判断ができるようになっていると思います。

しかし、イライラにとわれずに、共感(思いやり)のある合理的な判断が「瞬時に」できているかといえば、道半ばと思います。たとえですが、ゴルフの本を読んだら、すぐにゴルフができるようになる訳ではありません。自己認識のトレーニングと実践の積み重ねが必要です。

長い道のりになるかもしれませんが、まず認識し、やり始めなければ、何も始まりません。きっかけであれば、「シリコンバレーで流行っていて、スティーブ・ジョブズやテニスのジョコビッチ選手も実践している“瞑想”や“Zen”をやってみたい!」でもいいと思います。この記事で「マインドフルネス」についてもう少し知りたいという「きっかけ」になれば幸いです。

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